離婚のケース別考察その2「自分は離婚したいけど、相手は離婚したくない」場合

ご相談を通して得られた「智」
ご相談を通して得られた「智」
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前々々回の記事で、
次回の記事は、
②自分は離婚したい。相手は離婚したくない。
もしくは、
③自分は離婚したくない。相手は離婚したい。
について書きます!と宣言してましたが、
前回、前々回と
違う内容の記事になっちゃいました。



ということで、
予定よりも遅れましたが、
今回は
②自分は離婚したい。相手は離婚したくない。
について書いていきたいと思います。



で、ちょっとおさらいですが、
離婚に対しての当事者の思いをもとに、
ケースの態様を
4つのパターンに分けてみました。

それが以下の4つですね。

①自分は離婚したい。相手も離婚したい。
②自分は離婚したい。相手は離婚したくない。
③自分は離婚したくない。相手は離婚したい。
④自分は離婚したくない。相手も離婚したくない。 



①については、
前々々回の記事で書きましたので、
今回は②についてです。



②は
「自分は離婚したいけれども、
 相手は離婚したくない」
というケースですね。



このケースでは、

「自分は離婚を望んでいるけれども、
 相手が承服してくれない。
 どうしたら離婚することが
 できるのだろうか」とか、

「離婚を切り出したら、
 相手は拒否するだろうが、
 なんとかもめずに離婚できる
 方法はないか」

といったことで、
頭を悩ませることになるわけです。



特に、離婚したい方が男性で、
奥さんが怖いとか
キツイ性格であるとかいった場合には、

「なんとかもめずに
 離婚できる方法はないものか・・」

と思い悩むわけですね。



でもね・・・
「もめずに離婚できる方法」なんて
ないですよ・・・。



ないよ、ないない。
もめるに決まってるじゃん!



だって、
相手は離婚したくないんだから。



これがもし、
お金や生活の心配のみで離婚を
拒んでいるということであれば、
実効性のある
お金や将来の生活の保証を
申し出ることによって、
離婚を受け入れてもらうことは
できるかもしれません。



でもね、
お金や生活の保証
といったこととは異なる次元で、
離婚なんて到底受け入れられない
という人もたくさんいます。



理由はいろいろとあると思います。



これまで一生懸命、
家族のために尽くしてきた
という思いを持っている人であれば、
相手からの離婚の申し出は
理不尽極まりなく感じるでしょう。



今の生活にこれといって
不満を感じていない、
むしろ、
幸せを感じていたような場合には、
離婚の申し出なんて青天の霹靂で、
すぐには何が起きているのかさえ
理解できない、
その現実を受け止められない、
ということもあるでしょう。



「配偶者がいて家庭がある」
といった外から見える形や、
配偶者のステータスなどに
重きを置いている人は、
その形が維持できなくなることや、
今の満足している生活レベルが
維持できなくなることには
激しく抵抗するでしょう。



自分のことを好きではなくなった人、
というか、
むしろ自分のことを嫌っている人に
すがって一緒に暮らすくらいだったら
別れた方がいいと考える方は
結構多いと思いますが、

見捨てられ不安が強かったりすると、
自分のもとから
去られてしまうくらいだったら、
どんなに嫌われようが、
どんな扱いをされようが、
一緒にいてくれる方がマシ
(というか幸せ)と感じる
ということもあります。



日本の場合は、
離婚したくても相手の同意がないと
(協議)離婚はできませんが、
特に最後の例に出したような人が、
相手が自分のもとから去っていってしまう
ということを意味する「離婚」に
同意なんてできるわけがありません。



相手が離婚に同意してくれなくて
協議離婚ができない場合、
それでも離婚したければ、
家庭裁判所に
調停を申し立てることになります。



でも、
家庭裁判所の調停に移っても、
離婚の合意ができなければ、
基本的には、
調停は流れてしまうので、
離婚することはできません。



それでも離婚したいとなれば、
今度は裁判に訴える
ということになりますが、
離婚を求めて裁判を起こす場合には、
民法第770条に掲げられている事由に
該当する必要があります。



相手が離婚に同意してくれないと、
離婚するのはとても難しい
ということが分かりますね。



それだけ、
「婚姻届」を出したという事実は
重いということなのかもしれません。



でもね、
「離婚したいけど相手が同意してくれない」
「もめずに離婚できる方法はないか」
と悩んでいる方というのは、
ちょっと適切な言葉が
見つからないのですが、
あえて言うと、
「優しい方」や「いい人」が
多いように思うんですね。



「なんとか自分の考えを
 理解して同意してもらいたい」

「お互いの幸せな将来のために」

「なるべく相手を傷つけずにすむように」

と考えているわけですから。



実際に、
私がご相談をお受けした限りでは、
ほとんどの方は、
自分のことだけでなく
相手のことも考えて
悩んでいます。
(たまに、ズルいことを考えている
 方もいらっしゃいますが・・)



「離婚したい」となったら、
相手のことなどお構いなしに、
自分の思う通りの行動をとる人も
普通にたくさんいらっしゃるでしょうから、
「どうしたら相手の同意を得られるか」
と悩んで相談に来られる方は、
やはり「優しい方」「いい人」が
多いのだと思います。



だから、
そのような「優しい人」「いい人」が、
相手の反対を押し切ってでも、
どうしても離婚したいと
考えるのであれば、
もめる覚悟が必要なのだと思います。



そして、
「私には何の落ち度もない」と
主張する相手や、
「離婚したくない」とすがる相手を
振り切ってでも
離婚をしたいと思うのであれば、
「ひどい人」になる覚悟をすることです。



これは、
「相手にひどいことをしろ」
と言っているのではなく、

「離婚したくない」と
手を離そうとしない人の手を振り払って
離婚しようとすることは、
相手からみれば、
それ自体が「ひどいこと」であり、
それをしようとするのは
「ひどい人」に映るということです。



だから、
どうしても離婚したいのであれば、
相手から離婚の同意を得るための
努力は必要ですが、
それを下支えする “ もめる ” 覚悟や、
“ そしり ” を受ける覚悟を
した方がいいですよ
ということですね。



離婚するために結婚する人は
普通はいないわけですし、
離婚したいと思っている人でも、
「婚姻届」を出すときには、
自分が将来「離婚したくなる」とは
夢にも思ってはいなかったでしょう。



だから、
離婚したいと考えるように
なってしまったのは、
残念なことでは
あるかもしれませんが、
しょうがないことでもあると
私は思うのです。



ただ、
しょうがないことではありますが、
離婚は望んでいない方からすれば、
それ自体が相当に
ダメージの大きなことなので、

心が大きく(深く)傷つくのは
避けられないとしても、
それ以外のダメージは、
できるだけ軽くなるように、

そして、
お子さんがいる場合には、
養育費を含め、
お子さんへの責任は
きちんと果たしてあげてほしい
と思います。



今回は、②の
「自分は離婚したい。相手は離婚したくない」
のケースにおける、
主に心の面について書いていきましたが、
法律的な離婚できる・できないの
判断については、
やはり弁護士さんに
ご相談されることをお勧めします。



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