離婚のケース別考察その3「自分は離婚したくないけど、相手は離婚したい」場合

ご相談を通して得られた「智」
ご相談を通して得られた「智」
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今回は、
離婚に対しての当事者の思いをもとに、

①自分は離婚したい。相手も離婚したい。
②自分は離婚したい。相手は離婚したくない。
③自分は離婚したくない。相手は離婚したい。
④自分は離婚したくない。相手も離婚したくない。

と、4つのパターンに分けた
ケースの態様のうちの、
③について書いていきます。



③は
「自分は離婚したくないけれども、
 相手は離婚したい」
というケースですね。



このケースを考えるにあたっては、
主訴によって、
さらに2つの場合に分けてみます。



ひとつは、その主訴が
もっぱら離婚の回避にある場合(Ⓐ)。



もうひとつは、その主訴が、
離婚を望んでいる相手との
関係修復にある場合(Ⓑ)。



まずは、
前者の(Ⓐ)の場合についてですが、
日本では夫と妻の両者が
離婚に同意していないと
協議離婚はできません。



協議で離婚するのが難しいとなると、
離婚したい方は家庭裁判所に
調停を申し立てることになりますが、

調停においても双方で
離婚に同意できない場合には、
基本的には、
調停は流れてしまい離婚できません。



それでも、
離婚したいとなると、
今度は離婚を求めて
裁判を起こすことになります。



ということはですよ・・・

離婚したくないのであれば、
とりあえずは
「離婚に同意をしなければいい」
ということになりますね。



離婚に同意をしなければ、
基本的には協議や調停では
離婚できないわけですから、
裁判となれば
どうなるか分からなくても、
そこまでいくには、
かなりの時間がかかります。



なので、
相手に離婚を切り出されたとしても、
それに同意をしなければ、
すぐには離婚とはならない
ということには、
少し心を落ち着かせることが
できるのではないでしょうか。
(とはいえ、相手が離婚をせっついて
 くるようであれば、全く
 心は落ち着かせられないですね・・)



ただし、
相手が出て行ってしまったり、
生活費を入れなくなったり、
ということは起きてくる
可能性がありますので、
自分が望む形での結婚生活は
維持できなくなるかもしれない
ということへの準備は
しておいた方がいいですよね。



相手が出ていってしまったり、
別居となってしまった際の
婚姻費用(別居中の生活費)
などについて、
あらかじめ調べたり
相談したりしておいた方が
いいかもしれません。



そういったことも含めて、
法律的な攻防が必要になるのであれば、
やはり弁護士さんに
相談するのが1番だと思います。



で、次に、
後者の(Ⓑ)の場合
(自分は離婚したくないけれども、
 相手は離婚を望んでいて、
 その相手との関係を修復したい場合)
についてですが、

これが離婚相談において、
いわゆる “ 修復 ” や “ やり直し ” と
呼ばれるケースですね。



この場合(③Ⓑ)の
“ 修復 ” や “ やり直し ” って、
本当に難しいです・・・。



相手の離婚の申し出が、
こちらの態度を改めることを
強く促す意味で、
あえて「離婚」を持ち出した、
“ 執行猶予つき ” の離婚の申し出
なのであればそうでもないですが、

既に離婚を決意した上での
離婚の “ 通告 ” の場合には、
それを翻意させるのって
本当に難しいです・・・。



さきほど述べたように、
離婚に同意しなければ、
基本的には離婚には至らないので、
法律的な夫婦の関係は
簡単には解消できません。



夫婦という法律的な枠は
簡単には壊せないという事実は、
「夫婦をやめることは簡単にはできない」
という意味では、
“ 修復 ” や “ やり直し ”
に有利に働くようにも思えます。



実際、恋人と夫婦では、
別離の危機が訪れた際に、
別離へのハードルが高く、
関係修復を考える可能性が高いのは
夫婦の方でしょう。



ただ、
「夫婦をやめることは簡単にはできない」
としても、
離れてしまった相手の心を
引き戻せるかといったら、
それはまた別の問題です。



「もう関わりたくない」
と完全に嫌われてしまった場合や、
「もう本当にどうでもいい」
と全くの無関心に
なられてしまった場合には、
こちらがどんなに努力をしようと、
少なくとも短期的な展望では
修復の可能性は限りなく
ゼロに近いだろうと思います。



逆に、
“ 憎 ” はあっても “ 愛憎半ば ” のように
“ 愛 ” や “ 情 ” が残っている場合や、
不倫や浮気相手ができたがために
「別れたい」と言っている場合などは、
努力次第では
修復の見込みもアリだと思います。



とはいえ、
自分の人生なので、
赤の他人に修復の可能性は
低そうだと言われたからといって
諦める必要なんてないわけで、
「修復したい」「やり直したい」
と自分が思うのであれば、
どんな状況であれ、
できる限りそのための努力を
してみるのがいいと思います。



ただし、ここでの修復への努力は、
「相手が望んでいるわけではない」
「自分がしたいからしている」
「自分が思う通りの結果が
 出るとは限らない」
ということをしっかりと
自覚した上でないと、
相手に対する不満と被害者意識が
どんどんとつのり、
状況も自分の精神状態も
さらに悪化していくことになるので
注意が必要です。



このケースでは、
後で悔いのないように、
自分の思いは
大切にしていただきたいですが、
少し引いた目で
全体を見てみることや、
その上で、
どうすることが最善か
といったことについても
冷静に考える余地を
心に残しておいていただきたいな
と切に思います。



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