「宣誓認証」を「夫婦やり直しのための公正証書」の代わりに使う方法


今回も、前回前々回に引き続き、
行政書士っぽい記事を
書いていきたいと思います。


今日の記事の内容は、
公正証書以上になじみが薄いと思われる
「宣誓認証」という制度について。


「宣誓認証」とは、誓約書など、
あらかじめ作成した文書を
公証役場に持ち込み、

それについて公証人の認証を
受けるという制度をいいます。



この制度が夫婦関係がらみでは、
どんな場合に利用されるのか言いますと、
たとえば・・・、


①どちから一方が不倫・浮気などをして、
 その発覚後に夫婦でやり直すことを
 決めたときに、やり直すための
 ケジメのような場がほしい場合

②離婚の危機に瀕した夫婦が
 やり直すことを決めたときに、
 それを書面にて明らかにして
 残しておきたい場合

などが挙げられるかと思います。


これだけだと、
この制度がどんなものなのかを
なかなか想像できないと思いますので、

①の方を例にして、
それがどんなシチュエーションなのかを、
ちょっと説明していきますね。


あるところに、夫Aの浮気が
発覚した夫婦ABがおりました。


妻Bは離婚も辞さない構えでしたが、
夫Aの真摯な謝罪を受け、
離婚は回避されることになりました。


ABは夫婦として
やり直していくことを決めたものの、
妻Bとしては、
このまま何も形に残らないまま
ウヤムヤにコトが進んでいくことに
納得ができず、
やり直しに対して前向きな気持ちに
なることができずにいました。


そこで、
とある行政書士に相談してみたところ、
「宣誓認証」という制度が
あることを教えてもらいました。


まずは、
その行政書士さんに教えてもらった通りに、
夫に、浮気の事実とそれに対する謝罪、
今後についての妻に対する約束を記した
「誓約書」を書いてもらいました。


そして、妻Bと夫Aは、
その誓約書を2部用意して、
公証役場に赴きました。


夫Aは、妻Bの見守る中、
公証人の面前で、
持参した誓約書の記載内容が
真実であることを宣誓した上で
それに記名押印しました。


公証人はその誓約書に認証を付与し、
1通を夫Aに返してくれました
(もう1通は公証役場で保管されます)。


妻Bは、夫Aの
「浮気の事実」と「それに対する謝罪」、
「妻Bに対する今後の約束」
が記載された書面が、きちんとした場で、
きちんとした形に残されたことで、
ようやく自分の気持ちにひとつの区切りを
つけることができたのでした。

.


と、まぁ、
この例はあくまで
ひとつの例に過ぎませんが、
こんな感じで利用されるのが
「宣誓認証」という制度です。



私は、この制度を、
公証人の先生に
教えてもらって知りました。


何年か前のことですが、
ご相談者様から

「夫婦やり直しのための公正証書を
 作ることはできないか」

というご相談をいただき、
公証人の先生に相談してみたところ、

「夫婦がやり直すための公正証書を
 作ることはできないけれども、
 コレだったらできるよ」

と教えていただいたのが、
この「宣誓認証」でした。



この
「『夫婦やり直しのための公正証書』
 を作成してもらえないか」
というご相談は、
たまにあるんですよね。



「夫婦やり直しのための公正証書」って、
作成に一定のニーズもあると
思われるんですが、
実際に作成しようとなると、
とてもハードルが高い・・・。



どうハードルが高いのかというと、
作成について、
なかなか公証人の先生が
首を縦に振ってくれないのです。



公正証書っていうのは、
公証人が作成するものなので、
お願いした公証人の先生に
「私はそういうのは作らない」
と言われてしまうと、
それまでなのです。



ただ、この
「夫婦やり直しのための公正証書」、
実は、絶対に作成しては
もらえないってワケでもなく、

公証人の先生によっては、
作成をOKしてくれることもあるようで、
実際に、
私もコピーではありますが、
作成されたものを
目にしたことがあります。


だから、イレギュラーともいえる
「夫婦やり直しのための公正証書」
を作成するには、

作成にOKを出してくれる
公証人の先生を探し歩く必要がある
ということになります。



ちなみに、公正証書の作成は、日本全国、
好きな公証役場で依頼できるので、

ある公証人の先生にダメと言われても、
他の公証人を探す
という手があるということですね。



なんか、同じ公証人のはずなのに、
OKと言ってくれる人もいれば、
ダメな人もいるって、
意外にアバウトに感じますよね・・ (;^ω^)



ただ、
「夫婦やり直しのための公正証書」
の作成については、
ダメという人の方が圧倒的に多数です。

実際に、
私がお尋ねした公証人の先生でも
作成OKな方はゼロ!でした。



じゃぁ、なんでこんな風に人によって
作ってくれたり作ってくれなかったり
ということが起きちゃうのか?
ってことですが・・・。



それは、民法第754条に、

夫婦間でした契約は、婚姻中、
 いつでも、夫婦の一方から
 これを取り消すことができる。

 ただし、第三者の権利を
 害することはできない。 」

という規定があるからです。



民法にこんな条文があるなんて、
きっとビックリだと思うのですが、

夫婦の間でした契約は、
婚姻中はいつでも取り消しOK
ということが、
ここに定められているんですね。



これは、
「夫婦の間の約束なんて
 守らなくてもべつにOK」
ということを
言っているわけではなく、

「夫婦生活の自主性を尊重し、
 国家からの干渉を
 最小限度にとどめることを
 宣言した規定」

と理解されているのですが、
弊害も大きいようで、
削除論も強くあるようです。



とはいえ、いまだ削除はされず、
この条文が民法の中に
残っているのも事実。



そして、この、民法第754条が
まだ残っていることが、

公証人の先生が
「夫婦やり直しのための公正証書」
の作成について
首を縦に振ってくれない理由なのです。




「夫婦でした契約は、
 婚姻中はいつでも
 取り消せるんだから、
 そんな、いつでも
 取り消せるような契約について、
 公正証書は作成できないよ」
ということですね。



公正証書を作成しても
取り消せることに変わりはないので、

後から取り消されて
無効になる可能性があるような
不安定なものについて
公正証書を作成してしまったら、
混乱を招いてしまいますからね。



となると、

「え?じゃぁ、離婚届を出す前に
 公正証書を作っておいた場合は、
 離婚届を出す前に相手が取り消しを
 することもできるってこと?

 慰謝料とか養育費の約束も
 取り消されて
 無効になっちゃったりする
 可能性があるの?」

という、疑問が
湧いてくるかもしれません。



でも、ご安心ください。
離婚する場合には、
取り消しはできないので
大丈夫なんです。



どうしてかというと、
判例によって、
この民法第754条が
適用される範囲には
制限が加えられているからです。



判例によって、
夫婦関係が破綻もしくは
破綻に瀕している場合には、
民法第754条は適用されない、
とされています。


なので、夫婦関係が破綻して
離婚することになった
夫婦の場合には、
民法第754条は適用されず、

夫婦の間でした契約も
取り消すことはできないので、
晴れて公正証書も作成できる、
というわけです。



で、ここからが
「夫婦やり直しのための公正証書」
に関係してくるのですが、

先に示した判例は、
「夫婦関係が破綻もしくは
 破綻に瀕している場合」に、
民法第754条の
適用範囲を制限しています。



この破綻に瀕している場合
という文言があるところに
夫婦やり直しのための公正証書」
も作成できるという考え方が
登場する余地が生まれるのです。



つまり、
「私たちが
 『夫婦やり直しのための公正証書』
 の作成を望んでいるのは、
 今、まさに、
 夫婦関係が破綻に瀕している
 からです!」
と主張するわけです。



「今、私たちの夫婦関係は
 破綻に瀕しています。
 でも、二人で話し合って
 もう一度やり直すことを決めました。
 
 だから、
 そのために話し合って
 決めたことを公正証書にしたいのです。

 私たちの関係は
 破綻に瀕しているので、
 判例によると
 民法第754条は適用されず、
 私たちの契約は
 取り消せないはずです。

 だから、
 公正証書を作成しても
 大丈夫なはずなのでお願いします!」

のように主張して
作成をお願いするということですね。



まぁ、確かに、
「もう一度やり直そう」
っていうのは、
関係が破綻に瀕しているからこそ
出てくる話ですからね。



なので、
この(屁)理屈に納得してくれて、
「夫婦やり直しのための
 公正証書を作ってほしい」
という熱意に応じてくれる
公証人の先生は
作成してくれるというわけです。



ただ、さきほども述べましたが、
私が作成を打診してみて
OKをしてくれた公証人の先生は
ゼロでした。



ですが、その中の一人の先生が

「やり直しのための公正証書は
 作れないけれども、その代わりに
 こういう制度もあるよ」

と教えてくれたのが「宣誓認証」です。



宣誓認証であれば、
その内容が公正証書には
載せられないような
ちょっと過激(?)な約束が
記載されているような場合でも
認証してもらえたりもします。



ただ、認証を受けたからと言って、
その内容に強制力や拘束力が
生じるわけではないので、
実効性という面でいえば、
あまり意味はないものです。



「そいうことを約束した」
「そういうことを誓約した」

という証拠にはなりますが、
「宣誓認証」を受けることで、
その約束や誓約を守らせるために
何かができるようになったり、

守らなかった場合に
何らかのペナルティーを課したり
といったことが
できるようになるものでもありません。



ただ、気持ちの問題として、
「これから二人でやり直していく」
ということについて、

何か区切りや儀式のようなものが
必要だと感じられる場合には、
有効に利用できるのでは
ないかと思います。



ちなみに、
「宣誓認証」を利用する際に
公証役場に支払う手数料は
11,000円です。



宣誓認証を受けた証書は、
のちに裁判となったときにも
有効な証拠とすることができますので、

気持ちの整理とともに、
浮気の証拠も残しておきたい
という場合には、
利用を検討されてみては
いかがでしょうか。

→ 宣誓認証のサポート




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