母が娘をパートナーにしてしまうことに潜む危険

ドラマ・映画から
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今(H29年2月)、
NHKで金曜の夜10時から

「お母さん、娘をやめていいですか?」

というドラマをやっています。

 

私は第1回を見逃してしまったので、
第2回から観ています。


いや~、
斉藤由貴さん演じる「ママ」ですが、
怖いですね~。


常軌を逸したその行動は、
まるでホラーのようです…。

 

母娘関係を扱っているこのドラマ、
今現在で全8回のうち
第6回まで進んでいます。

 

私はリアルタイムではなく、
録画で観ているのですが、

つい最近、
第5回と第6回をまとめて観ました。

 

第5回では、どこまでも
自分に追いすがってこようとするママを、
波瑠さん演じる娘の美月ちゃんが
必死で振り払おうとする姿が
描かれていました。

 

思わず
「美月ちゃん、頑張れ!」
とつぶやきながら、

自分にも美月ちゃんのように、
自分の中に侵入してくるように感じた母を
振り払おうとしていた時期があったことを
思い出しました。

 

私の母は、
美月ちゃんのママのように
ホラーな人ではありませんでしたが、

それでも、
ある時期まで、
私は母との間に相当な葛藤を抱えていました。

 

私の母は、
実母(私の母方の祖母)との間にも
姑(私の父方の祖母)との間にも、

幼い私の目からみても
ハッキリと分かるほどに
相当に大きな葛藤を抱えている人でした。

 

仕事人間だった当時の父は、
そんな母にとって
充分なパートナーではなかったようです。

 

私は、
幼い頃から手のかからないいい子
(と親は思っていた)だったので、

母の関心は当たり前のように、
期待を裏切らない私に
向かったんでしょうね。

 

こうなると、当然、
母と娘の結びつきは強くなっていきます。

 

あれは、
小学生の頃だったか、
中学生の頃だったか…。

 

多分、
小学生の頃だったと思いますが、
私は母に

「お母さん、愚痴があったら、
 私に言いなよ。
 私が聞いてあげるから」

といったような言葉をかけた
記憶があります。

 

 

それを聞いた母は、一瞬、
胸を突かれたような表情をしてうつむき、

「女の子はいいわね」

と静かに笑ってくれたように
記憶しています。

 

きっとそのとき、母は

「この子は私の気持ちを分かってくれる」

と、しみじみとした嬉しさのようなものを
感じたのではないかと思います。

 

でもね…

自分でそんな殊勝なことを言っておいて
なんなんですが…

 

今の私からすれば、
娘にそんなセリフを言われたら、

「娘は私の気持ちを分かってくれる」とか
「娘は優しい子に育ってくれた」と

喜んでいる場合ではないのですよ。

 

そんなセリフを母親に言う娘は、
たとえそのときには自覚なしだとしても、
相当に苦しんでると思って
いいのではないでしょうか。

 

娘にそんなセリフを言われたら、
母親は自分が背負わなければならない何かを
娘に背負わせようとしていることに
気がつかないといけないのかもしれませんね。

 

そんなふうに、
親の期待に応え、
特に反抗期もなく大きくなった私ですが、

大学に入った頃から、
そんな関係が重苦しくてたまらなくなり、

私はドラマの中の美月ちゃんのように、
私の中に侵入しようと伸びてくる母の手を
振り払おうとするようになりました。

 

「私とお母さんとは違う人間。
 好みも考えも違う別の人間なの!」と。

(あれ ?! これって結局、
 反抗期が思春期よりも遅くに来た
 ってこと? 苦笑 )

 

それまでとは違う私の反応に
傷つく母の姿を目にすることは、
私にとっても
胸の痛むことではありましたが、

母の人生ではなく、
自分の人生を生きていくためには、
やっぱり必要なプロセスだったんでしょうね。

 

ただ、
母の侵入の手を振り払えるようになれたら
それでハッピーになったかといえば、

もちろんそんなことはなく、
実際にはそこをスタートにして、

「何が好きで何がしたいのかも
 よく分からない自分」

「中身が空っぽで
 つまらない人間に思える自分」

「そんな自分を人に知られたくない
 という思いから(無意識に)
 変な行動をとる自分」

そういった厄介な自分と
つきあい折り合っていくという、

なかなかにしんどい時期を
過ごすことになりました。

 

でも、
そのしんどさは、
私が自分の人生を取り戻すためには
必要なものだったんだろうなと
今は思います。

 

でも、でもね、
あんなしんどさは、
生きていくために
誰にとっても必要不可欠のもの
ではないと思うのです。

 

今、子ども時代を過ごしている
子どもたちには、

私が経験したような、
あんなしんどくてつまんないことに
時間とエネルギーを費やすのではなく、

その貴重な時間とエネルギーを、
もっと楽しく幸せに
人生を充実させるために
使ってほしいと思うのです。

 

そのためには、
親が子どもの人生を乗っ取らないこと。



親も自分の人生を生きること。



親が子どもを自分の人生のパートナーにしないこと。

 

そういう意味で、私は

「幸せ夫婦」は子どもを救う!

と信じています。


私が夫婦の問題を専門とする
今のお仕事を始めたきっかけは
いくつかありますが、

そもそもの原点は
間違いなくここにあります。

 

ちなみに、
私が母の手を振り払うようになってから
今に至るまでにはいろいろとありましたが、

今では、
母の人生のパートナーは
名実ともに父です。

 

今の私は、
母の愚痴を必要なときには
たっぷりと聞いてあげますし、

私も母に
いろいろと助けてもらっています。

 

ドラマの美月ちゃんとママの15年後は
どうなっているのでしょうか。

 

ドラマでは
そんな先のことは描かれないと思いますが、

美月ちゃんにとってもママにとっても、
救いのあるラストになってほしいなと思います。

 

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