専業主婦の妻に家事の分担を求められたら…?

ご相談を通して得られた「智」
ご相談を通して得られた「智」
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専業主婦の奥さんを
お持ちの男性が口にしがちなこと。


「自分は、どうしても専業主婦と
 仕事を持っている女性とを
 分けて考えてしまう。
 
 妻が仕事を持っているのなら
 分かるのだけれど、
 専業主婦である自分の妻に
 家事の分担を求められると、
 それは違うだろうと思ってしまう」

 

なるほど…。


お金を稼ぐという役割を
担っている側が、
家庭内での役割分担ということを
単純に考えてしまうと、

まぁ、
そういう帰結になっちゃうんでしょうね…。



条件反射のように、
そのような帰結になってしまう理由として、
ひとつ考えられるのは、
「お金を稼いでくること」に価値を
置きすぎているかもしれないということ
が挙げられます。



確かに、
お金がないと生活できないわけですから、
「お金を稼いでくること」は
何を置いても必要なことではあるのですが、

「人間的な暮らし」を維持していくためには
「命のメンテナンス」である
「家事(育児も含めて)」も、実は、
「お金を稼いでくること」と
同じくらいに重要なことなんですよね。



ただ生きているだけの
ジャンクな暮らしではなく、
「人間的な暮らし」を営んでいくためには、
「お金を稼いでくること」と「家事」は
どちらが欠けても成り立たない
車の両輪のような関係です。



もし、条件反射的に何の疑問もなく、
上記のような帰結を当然と
考えてしまうようでしたら、

「お金を稼いでくること」のみに
過剰な価値を置き、
「家事」の価値を低く見積もって、
それに従事している妻の尊厳を
損なっていないか、
ちょっと考えてみてくださいね。

 

また、
専業主婦と一口に言っても、
子どもの有る無しや、
子どもの年齢やその他の事情などで、
その状況は全然違ってきますよね。

 

「専業主婦の妻が夫に家事分担を
 求めるのは違うと思う」

というのが、
育児や介護などの負担のない、
比較的身軽な専業主婦に対して
なのであれば、

私もほぼ100%の納得感で
「そうですね」と
うなずけると思うのです。

 

でも一方で、
そういった比較的身軽な専業主婦と、
手のかかる盛りのお子さんが
何人もいたりする専業主婦とを
同じに考えることはできないよね…
とも思うのです。

(手のかかる盛りの子どものお世話は
 1人でも大変ですけどね ^ ^;)

 

夫が会社員として働いている
という場合、個人によって
多少の差はあると思いますが、

仕事に従事している時間は
「会社に拘束されている時間」
という感覚が、夫の方には
あるんじゃないかと思います。

 

自分の自由にはならない、
「自分以外の誰かのために使う時間」
という感覚ですね。

 

「専業主婦が夫に家事分担を
 求めるのは違う」と考える方は、

専業主婦というのは会社員のような
自分とは違って、
何かに拘束されるでもなく
自分の自由になる時間、

「自分のために使える時間」を
たくさん持っている者、と、
そんなふうに捉えてはいないでしょうか。

 

でもね、

専業主婦でも幼い子どもがいる場合には、
夫が仕事をしている日中であっても、
夫と同様にガッチリと拘束されていて
「自分のために使える時間」
なんて殆どないんですよ。

 

しかも、
誰かが代わってくれない限り1日中、
24時間の拘束です。

 

奥さんが何に拘束されているのか、
お分かりですよね。


そう、「子ども」、
つまり「育児」にです。

 

基本、子どもと一緒にいる時間は、
「育児」がメインの仕事になりますので、
「家事」など、
他の仕事のパフォーマンスは
個人差はあれど大幅に落ちます。

 

しかも、
メインの仕事である「育児」は
生身の人間のお世話ですから、

「家事」のように、
こちらの都合に合わせて効率よくこなす
といったことも難しいので、

「育児」に押される分
「家事」には充てられる時間も減少します。

 

なので、
それまでは一人でこなせていた家事が
消化できなくなって、

「少しは手伝って!」
「家事を分担して!」

となってしまうのは、まぁ、
当然の成り行きとも言えるワケで、
べつに甘えたことを言っている
ワケでもないんですよね。

 

だから、そういった実態を
理解しようとしないままに、

「少しは家事もして!」

「専業主婦なのに、
 家事分担を求めるのは違うだろ」

みたいな表面的な
やりとりになってしまうと、
そこから生まれる

「この人は私のことを
 全然分かってくれない」

「この人は私の話を
 ちゃんと聞いてくれない」

といった不満や虚しさが妻の心を
蝕んでしまうのだろうと思います。

 

それにね、
妻が家事分担を求めてきた
っていう場合でも、

「それって、本当に
 家事分担を求めているの?」

って感じることもあります。

 

たとえば、
夫の仕事の休みは週に1回程度で、
仕事のある日は、朝は早朝に出勤し、
帰宅も夜遅いことがほとんど、
とかいう場合だったら…?

 

そんな状況じゃ、
家事の分担なんて物理的に無理ですよね・・

 

奥さんは、そんな状況のご主人に
本当に家事をやらせようと思ってるの?


逆に言えば、
ご主人が家事の分担さえすれば、
それで本当に奥さんは満足するの?

 

違うんじゃないかな・・・と思います。

 

だから、
奥さんが家事の分担を
求めてきたときには、

「お前は専業主婦だろ…」

といった表面的なやりとりで抑え込んだり、
話を終わらせるのではなくて、

今の夫婦関係を見直す
きっかけにしてほしい
と思うのです。

 

奥さんからの家事分担の求めは、
物理的に家事分担が
可能かどうかを超えて、

奥さんが今の状況に
不満を持っていることや、

今の夫婦関係に溝ができ始めている
ことへのサインです。

 

奥さんがどんなことを思っていて、
何に困っていて、
本当は何を求めているのか。


それに対して、
自分はどんな思いで、
何ができるのか。

 

それを考えて実行に移すことは、
エネルギーのいることで、
面倒くさく感じるかもしれませんが、
それを放置した先には、
何が待っているでしょうか。

 

奥さんが、
離婚を決意したり、
出て行ったりしてから

「今までの自分を全部改めるから」

と手をついて謝っても、
「時すでに遅し」なことが
多いのが現実です。

 

奥さんから強い調子で
家事の分担を求められると、

自分が責められているように感じたり、

「自分だってできることを
 精一杯やってるのに
 これ以上何をしろって言うんだよ!」と、

逆に自分を理解してくれないように
感じる奥さんに
不満を感じたりすると思います。

 

でもね、
奥さんは今の状況が苦しくて
助けを求めているだけなのかもしれません。


助けを求めてくれているうちなら、
まだ間に合います。

 

だから、
もし、奥さんに家事の分担を求められたら、
二人の関係に何かが起きている
サインとして受け止めてみてください。

 

そして、
せっかくキャッチできた
そのサインを生かすべく、

奥さんのお話に
よくよく耳を傾けてみてください。

 

そうしたら、きっと、
奥さんが本当に求めていることが
見えてくるはずですから。

 

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