強制執行認諾約款付き公正証書とは


私は行政書士もやっているので、
今日は、ちょっと行政書士らしく、
「強制執行認諾約款付き公正証書」
とはどんなものかについて、
書いていきたいと思います。



分かりやすいように
「強制執行認諾約款」と
「公正証書」
とに分けて考えていきますね。



まず、公正証書とは
公証役場で事実や契約行為などの
証明・認証を行う公務員である
「公証人」が作成した文書をいいます。



公証人の多くは
裁判官や検察官などの職についていた
法律の専門家から選任され、

作成された公正証書の原本は
公証役場に保管されます。



そして、
公証人に公正証書を
作成してもらうためには、
公証役場に一定の手数料を
支払うことが必要となります。



では、手数料をかけてまで、
なぜ公正証書を作成するのでしょうか?


手数料をかけてまで
作成する公正証書には、
どんなメリットがあるのでしょうか?



分かりやすいように、
例を挙げて考えていきましょう。


ここに離婚をしようとしている
夫婦ABがいます。

そして、AとBは、離婚後には、
夫Aから妻Bへ、
子どもの養育費として、
毎月決まった金額を支払うことを
約束しました。

ところが、離婚後、
元妻Bが元夫Aに
養育費を請求したところ、Aは
「養育費を支払う約束なんて
 していない」
と言い出しました。

.


困りましたね💦


こういうことが起こらないように、
約束事は、
たとえば「離婚協議書」といった
書面にしておいた方がいいですね。



書面に残しておけば、
話し合いがつかず、
訴訟となったときでも、
その書面を証拠として
提出することができます。



では、ちょっと例を変えて・・・


ここに離婚をしようとしている
夫婦CDがいます。

CDは離婚の際に、
養育費の支払いについて
もきちんと記載した
「離婚協議書」を
作成していました。

離婚後、元妻Dは元夫Cに
離婚協議書に基づいて
養育費の支払いを求めましたが、
元夫Cは
「その離婚協議書は
 Dが勝手に作ったものだから、
 養育費なんて自分は知らない」
と、とぼけたことを言い出しました。

.


困りましたね💦


このような場合、
基本的には元妻Dは元夫Cに対して
訴訟を起こして
養育費の請求をすることになります。



大変ですね💦



ただし、この離婚協議書をもとに
公正証書を作成しておけば、

元夫Cは、
そんなとぼけたことを
言い出すことはないでしょう。



なぜならば、
公正証書は、
公務員であり
また法律のプロでもある公証人のもと、
夫婦2人と公証人の合計3人で
(夫婦については代理人を
 たてることもできます)、

ひとつひとつ項目を読み合わせて
内容を確認し、
それぞれが署名押印をした上で
作成されるものだからです。



また、離婚の際の引っ越しなどで、
作成した離婚協議書を紛失する
ようなことも起こりえますが、

公正証書にしておけば、
原本が公証役場に
保管されるので安心です。



と、このあたりが
公正証書を作成する
メリットではありますが、

離婚協議書を公正証書にしておく
最大のメリットは
「強制執行認諾約款」
をつけたときに発揮されます。



ということで、
次に「強制執行認諾約款」とは
何かについて見ていこうと思いますが、

その前に、
「強制執行」とは何なのかについて、
先に見ていきましょう。



「強制執行」とは、

債権者
(お金を支払ってもらう権利を
 もっている人)が

債務者
(お金を支払う義務のある人)から

お金を支払ってもらえなかったときに、

債権者が裁判所に申し立てをして、
債務者の債権
(給与や預貯金など)や動産、
不動産などを差し押さえてもらい、

そのなかでお金に換えられるものは
お金に換えて、
それを債権者への支払いに充てる制度
をいいます。



この強制執行は、
財産権に対する大きな制約となるので、
これを行うためには、
基本的には
債務者に対して裁判を起こして、
勝訴判決を得ることが必要となります。



ですが、
「強制執行認諾約款」の付いている
公正証書を作成している場合には、

裁判をして勝訴判決を得なくても
債務者に対して強制執行を
行うことができるのです。



この「強制執行認諾約款」とは、
公正証書のなかに記載される

『債務者が金銭債務を履行しない場合は、
 ただちに強制執行に服する旨陳述した』

といった文言のことで、
支払い義務者が支払いを怠った場合には、
ただちに強制執行を受けることを
了承していることを示すものです。



つまり、
先の例で挙げた元夫婦ABについても、
養育費について、

「強制執行認諾約款付き公正証書」
を作成しておけば、

Bが請求したにもかかわらず
Aが支払ってくれない
というような場合には、

Bは改めて裁判を起こすことなく、
裁判所に強制執行を申し立てることが
できるようになるわけです。



これって、大きなメリットです。


だって、離婚後に、
養育費の支払いを拒否されてから、
裁判を申し立てて、
さらに裁判を戦って
勝訴判決を得るなんて、
えらいことです。



また、
「強制執行認諾約款付き公正証書」
を作成したということは、

「支払いを怠れば強制執行を
 受けるかもしれない」という
心理的プレッシャーを支払い義務者に
与えているということでもあります。



勤め先からのお給料に
差し押さえをかけられると、

当然、
勤め先に差し押さえの事実を
知られることになりますし、

ということは
「コイツは養育費を払っていない男だ」
ということも勤め先に
知られることになるので、

それがイヤだと思う人には、
そういう事態にならないように
養育費をちゃんと支払い続けよう
という動機付けになると
いわれています。



とはいえ、
「強制執行認諾約款付き公正証書」
も万全ではないんですよね。


そもそも、働いてもおらず、
めぼしい財産も
持っていない人に対しては、
強制執行なんていったって、
無意味ですしね。


「ない袖は振れぬ」ってやつです。


勤め人に対しては、
ある程度有効だとは思いますが、
それだって、
養育費を受け取っているのは
母子家庭全体の2割くらい
という現状から考えれば、
なかなかに大変だということですよね。



だとしても、
本当に請求をしようと思ったときには、
あるとないとでは大違いです!



離婚に際して、
養育費をはじめとする
金銭の支払いの約束がある場合、

特に分割払いでの金銭の
支払いの約束がある場合には、
「強制執行認諾約款付き公正証書」
をぜひとも作成しておきましょう。

→ 公正証書の作成サポート




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